FXには“安全装置”がある
FXは、少ない資金で大きな金額を動かせる投資です。
しかし、思いもよらぬ相場の急変で、大きな損失が出ることもあります。
そのようなリスクに備える仕組みが「ロスカット」。
これは、あなたの資金を守る“自動ブレーキ”のようなものです。
必要証拠金と有効証拠金の違いと関係性
FXのロスカットを正しく理解するためには、まず「必要証拠金」と「有効証拠金」の両方の仕組みをしっかり押さえることが重要です。
💡 必要証拠金とは?
必要証拠金とは、FXでポジションを持つときに「担保」として証券会社に預けておく最低限の資金です。
ポジションを持つごとに、口座から自動的に引き当てられ、拘束されます。
▼ 例:1ドル=150円で1万通貨取引の場合
- 取引総額:150円 × 10,000通貨 = 1,500,000円
- レバレッジ:25倍
- 必要証拠金:1,500,000 ÷ 25 = 60,000円
この60,000円は「拘束される資金」であり、新しい取引には使えません。
💡 有効証拠金とは?
有効証拠金とは、今の資産状況を反映した「実質的に使える資金の目安」です。
現在の口座残高に、保有ポジションの含み損益を加えた値になります。
▼ 有効証拠金の計算式:
有効証拠金 = 残高 + 含み損益
▼ 例:口座残高10万円で含み損が2万円ある場合
- 有効証拠金 = 100,000円 − 20,000円 = 80,000円
有効証拠金が減っていくと、ロスカットの危険性が高まります。
必要証拠金と有効証拠金の関係
用語 | 内容 |
---|---|
必要証拠金 | ポジションを維持するために拘束されている最低資金 |
有効証拠金 | 残高と含み損益を合算した「現在の資産の評価値」 |
証拠金維持率 | 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100 |
ロスカットの発動条件
ロスカットは、「証拠金維持率」が一定以下に下がったときに自動で執行されます。
「証拠金維持率」は、FX会社が指定しているロスカットの閾値です。
多くのFX会社では、50%としています。
証拠金維持率の計算式は、以下で表されます。
証拠金維持率(%)の計算式:有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100
たとえば、証拠金維持率が50%で、必要証拠金が60,000円で、有効証拠金が30,000円になったら…
→ 証拠金維持率は「50%」となり、多くのFX会社でロスカットが発動します。
シミュレーション:10万円で取引した場合のロスカットまでの流れ
たとえば、1ドル=150円のときに1万ドル分を買うとします。
- 取引金額:150円 × 1万通貨 = 1,500,000円(150万円)
- レバレッジ:25倍
- 必要証拠金:150万円 ÷ 25倍 = 60,000円
この時のロスカットまでのシュミレーションをすると以下のようになります。
為替レート | 含み損益(円) | 有効証拠金(円) | 証拠金維持率(%) |
---|---|---|---|
150円 | 0円 | 100,000円 | 166.6% |
149円 | -10,000円 | 90,000円 | 150.0% |
148円 | -20,000円 | 80,000円 | 133.3% |
147円 | -30,000円 | 70,000円 | 116.6% |
146円 | -40,000円 | 60,000円 | 100.0% |
145円 | -50,000円 | 50,000円 | 83.3% |
144円 | -60,000円 | 40,000円 | 66.6% |
143円 | -70,000円 | 30,000円 | 50.0% |
ロスカット後に残る金額は?
ロスカットが発動すると、保有していたポジションはすべて自動決済され、
含み損が確定損失として残高から差し引かれます。
例えば、70,000円の損失でロスカットされた場合、
手元に残るのは 100,000円 – 70,000円 = 30,000円 となります。
まとめ:ロスカットを“頼る前”に備える
- ロスカットは「最後の安全装置」。
- 本来は、損切りなどの自己管理が先。
- 「証拠金維持率」や「必要証拠金」を理解しておくことが、損失回避の第一歩です。
少額・低レバレッジから始め、まずは仕組みを理解することから始めましょう!
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