【鉄則FX】スワップ戦略では、為替の値動きのリスクを知っておくこと。

リスク管理
  1. 「スワップポイントで稼げる」に安心していませんか?
    1. スワップだけでは勝てない理由
    2. スワップ益 < 為替損 になることもある
    3. 本記事の目的
    4. FX初心者が覚えておくべき基本姿勢
  2. スワップポイントとは何か?再確認
    1. FXは“通貨の売買”ではなく“交換”
    2. スワップポイントは“金利差”から生まれる
    3. スワップポイントの計算例
    4. スワップの受け取り・支払いの方向
    5. スワップはFX業者ごとに異なる
    6. まとめ
  3. 第3章:為替レートの変動がスワップ運用に与える影
    1. ● スワップは“じわじわ”、為替変動は“一撃”
      1. MXN/JPYで1万通貨保有
    2. 値動きの性質:スワップは安定、為替は変動
    3. 高スワップ=高リスクの裏返し
      1. 例:トルコリラ(TRY)
    4. “放置すれば儲かる”は幻想
    5. スワップ投資は“為替の変動ありき”で考える
  4. スワップ益と為替損失の関係
    1. パターン別シミュレーション
    2. スワップは補助的な利益である
  5. 過去の実例:スワップ収益より為替損が大きかったケース
    1. ケース1:トルコリラ/円の暴落(2018〜2023年)
    2. ケース2:南アフリカランド/円の急落(2015年チャイナショック)
    3. ケース3:メキシコペソ/円も例外ではない(コロナショック)
    4. スワップ投資最大の失敗要因は「為替の急落」
  6. 為替リスクを抑えるための3つの対策
    1. 対策①:ロット数を抑えて“余裕資金で運用”する
    2. 対策②:ストップロスを設定して“最悪に備える”
    3. 対策③:長期チャートで“方向性”を確認してから入る
    4. リスクを取るなら“通貨の分散”も有効
    5. スワップ運用は「安定」と「安全」のバランスが命
  7. スワップ戦略を成功させるために知っておくべきこと
    1. スワップ戦略の魅力とは?
    2. スワップ戦略の「誤解」と「落とし穴」
    3. 成功のための基本戦略3か条
    4. まとめ

「スワップポイントで稼げる」に安心していませんか?

FX(外国為替証拠金取引)を始めたばかりの人にとって、「スワップポイントで稼げる」という言葉は非常に魅力的に映るかもしれません。
確かに、スワップポイントは通貨を持っているだけで日々得られる金利収益であり、いわば“ほったらかしで稼げる”仕組みに見えます。

しかし、実際のスワップ戦略には為替の値動きによるリスクがつきまといます。

スワップだけでは勝てない理由

SNSや広告などでよく見るのが、「メキシコペソを持っているだけで毎日150円もらえる!」「高金利通貨で年利10%以上!」といった言葉です。これらは一部事実ですが、重要な前提が抜けています。

「為替が大きく下がらなければ…」
「その高スワップがずっと維持されれば…」

つまり、スワップ収益が得られることと、トータルで利益になることは別問題です。

スワップ益 < 為替損 になることもある

スワップポイントは1日数十〜百円単位で積み上がりますが、為替レートの下落は一瞬で数千円〜数万円の損失を生むことがあります。

たとえば:
• メキシコペソ/円を7.00円で1万通貨買ったとします。
• 1日140円のスワップが得られます(1年間で約51,000円)。
• しかし、ペソが1.00円下落して6.00円になった場合、含み損が1万円に。

このように、スワップで稼げていても為替差損が上回ると、トータルで赤字になるリスクが常にあるのです。

本記事の目的

本記事では、「スワップポイントがあるから安心」と思っている初心者に向けて、以下の内容を明確にします:
• スワップの仕組みと利回り
• 為替変動がスワップ戦略に与える影響
• 実際に“スワップ益より為替損が大きくなった”実例
• 損失を抑えるための具体的対策

FX初心者が覚えておくべき基本姿勢

スワップは“おまけ”であり、本質は為替の方向性である

この姿勢を忘れずに持つことで、スワップ戦略は堅実で有効な投資法になります。
次章では、そもそもスワップポイントとは何か?をもう一度おさらいします。

スワップポイントとは何か?再確認

スワップポイントとは、FX(外国為替証拠金取引)における2国間の金利差から生まれる「日次の利息収益」のことです。ポジションを持っているだけで日々発生するため、「寝ていても稼げる」ように見える仕組みですが、その背景やリスクを理解することが非常に重要です。

FXは“通貨の売買”ではなく“交換”

FX取引では、常に2つの通貨をセットで売買します。
たとえば「メキシコペソ/円(MXN/JPY)で買いポジションを取る」とは、
• 高金利通貨(メキシコペソ)を買い
• 低金利通貨(日本円)を売る

という取引です。

このとき、高金利のメキシコにお金を預け、低金利の日本から借りている状態とみなされるため、金利差=スワップポイントを受け取れるというわけです。

スワップポイントは“金利差”から生まれる

例:2024年5月時点(おおよその値)

通貨政策金利
メキシコ11.00%
日本0.10%
金利差+10.90%(受け取り方向)

この金利差を背景に、ポジション1万通貨あたり、1日約140〜150円のスワップが付与されることがあります(FX業者によって異なる)。

スワップポイントの計算例

✅ シンプルなシミュレーション
• 通貨ペア:MXN/JPY(買い)
• ロット数:1万通貨
• スワップポイント:1日140円
• 保有期間:30日間

140円 × 30日 = 4,200円のスワップ収益

為替が動かなくても、1ヶ月で約4,000円以上の利息収入が得られるという魅力があります。

スワップの受け取り・支払いの方向

注意すべきは、スワップは常に受け取れるわけではないという点です。

ポジション通貨ペア金利差スワップ
買いMXN/JPY+10.9%受け取り
売りMXN/JPY−10.9%支払い発生

➡ スワップ狙いで運用する場合は、「金利差がプラスになる方向」でポジションを取る必要があります。

スワップはFX業者ごとに異なる

スワップポイントは、FX業者のスワップ設定ルール・市場調達コスト・手数料などによって変わります。

業者名MXN/JPYスワップ(買い)TRY/JPYスワップ(買い)
みんなのFX約140円/日約110円/日
LIGHT FX約145円/日約120円/日
GMOクリック証券約135円/日約100円/日

➡ スワップ戦略では、複数業者を比較して、最も条件が良いところを選ぶことが収益に直結します。

まとめ

• スワップポイントは「2国間の金利差」から生まれる、日次で発生する利息収益
• 高金利通貨を買い、低金利通貨を売ると「受け取れる」
• 金利差は大きいほどスワップも大きくなるが、リスクも比例して増える
• スワップ額はFX業者によって異なるため、比較検討が重要


第3章:為替レートの変動がスワップ運用に与える影

スワップポイント狙いの運用では、「為替が動かなければ得する」という前提があります。しかし現実の為替市場は、常に変動しており、時にはスワップ収益を帳消しにするほどの値動きが起こります

この章では、スワップと為替変動の力関係を具体的に解説します。

● スワップは“じわじわ”、為替変動は“一撃”

スワップ収益は毎日コツコツ積み上がる「定期収入」のような性質ですが、為替の値動きは突発的かつ大きく損益を左右します

MXN/JPYで1万通貨保有

内容金額の目安
スワップ収益約140円/日
年間スワップ収益約51,100円(140円×365日)
為替変動1円の下落 → 1万円の損失

➡ 年間スワップ約5万円が、わずか「1円の下落」で帳消しになるリスクがあるのです。


値動きの性質:スワップは安定、為替は変動

比較項目スワップポイント為替差損益
発生頻度毎日(確定)常時変動(未確定)
損益インパクト小(1日100〜150円)大(1円動けば1万通貨で1万円)
リスク性低(収益は安定)高(方向を誤ると即損失拡大)
特徴時間を味方にコツコツ積む一撃でプラスにもマイナスにもなる

高スワップ=高リスクの裏返し

高スワップが付く通貨は、多くが**「高インフレ国」や「政情不安国」**の通貨であることが多く、通貨自体の価値が下落しやすいという現実があります。

例:トルコリラ(TRY)

  • 高金利(政策金利40%以上)でスワップは非常に高い
  • しかし、2013年から2023年で対円レートが約1/5まで下落
  • スワップ収益では到底カバーできないほどの「含み損」発生

📌 トルコリラは、「スワップ目当てで保有→為替暴落で大損」の代表的な事例です。


“放置すれば儲かる”は幻想

「持っていればスワップがたまる」と考えて、為替の下落に目をつぶってしまう人がいますが、それは非常に危険です。

  • スワップは“収益”
  • 含み損は“評価損”

両者をバランスよく見ておかないと、最終的にスワップを得ても「マイナス決済」になり資産が減ってしまうことになります。


スワップ投資は“為替の変動ありき”で考える

スワップ収益は着実だが、為替が不利に動けば簡単に損になります。
高金利通貨はスワップが魅力でも、通貨価値自体が下がるリスクがあります。
よって、スワップ狙い戦略でも、為替の方向性を見誤らないことが重要です。

スワップ益と為替損失の関係

「スワップポイントで毎日収入があるから安心」と思っていても、為替レートが不利に動けばスワップ利益を簡単に吹き飛ばしてしまうことがあります。この章では、シミュレーションを通してその関係性を具体的に見ていきます。

● 基本条件(シミュレーション設定)
• 通貨ペア:メキシコペソ/円(MXN/JPY)
• ロット数:10,000通貨(=1万通貨)
• エントリー時レート:7.00円
• スワップポイント:1日あたり140円
• 保有期間:1年間(365日)
• 為替変動:様々なケースで変化

パターン別シミュレーション

ケース決済時レート為替変動含み損益(為替)スワップ収益総合損益
A7.00円±0円±0円+51,100円+51,100円
B6.90円-0.10円-1,000円+51,100円+50,100円
C6.50円-0.50円-5,000円+51,100円+46,100円
D6.00円-1.00円-10,000円+51,100円+41,100円
E5.00円-2.00円-20,000円+51,100円+31,100円
F4.00円-3.00円-30,000円+51,100円+21,100円
G2.00円-5.00円-50,000円+51,100円+1,100円
H1.80円-5.20円-52,000円+51,100円-900円(赤字)

分析ポイント
• 為替が1円下落すると約1万円の含み損(1万通貨あたり)
• スワップ収益だけで守れるのは概ね5円までの下落
• それ以上下がると、スワップでカバーできず“トータル赤字”

つまり、スワップ益で守れる下落幅には限界があるということです。

実際にあったケース(TRY/JPY)
• 2018年〜2020年:トルコリラ/円が約8円→5円へ下落(3円以上の下落)
• 年間スワップ+4万円に対し、含み損が−30万円超
• スワップ狙いで保持していた人が、スワップを得ても巨額の損失でロスカット

🔗 参考:TRY/JPYの過去チャート – Investing.com

スワップは補助的な利益である

スワップは安定収益だが、為替変動に勝てる保証はありません。
為替が5円以上下がると、スワップ益が帳消しまたは赤字になります。
つまり、スワップ戦略は、為替が一定範囲にとどまることが前提条件です。

過去の実例:スワップ収益より為替損が大きかったケース

スワップポイント狙いの戦略は、「為替がある程度安定している」という前提が崩れると、想定以上の損失につながることがあります。
この章では、実際に起きたスワップ戦略の“落とし穴”を、実例とデータで確認していきます。

ケース1:トルコリラ/円の暴落(2018〜2023年)

背景
• トルコでは高インフレと通貨安が続いており、政策金利は常に高水準(例:2023年末で40%台)
• FX業者は高いスワップポイント(1日100〜130円)を提供し、「TRY/JPY買い」が人気に

結果

TRY/JPYのレート備考
2018年初約30円投資家が大量保有し始める
2019年末約19円-11円の下落
2020年末約13円-6円の下落
2023年末約7円コロナ後、さらに暴落

➡ 約5年間で70%以上の下落
 1万通貨保有で23円の下落=23万円の含み損

スワップとの比較(仮定)
• 年間スワップ収益:100円 × 365日 = 36,500円
• 含み損:-23円 × 1万通貨 = -230,000円

➡ スワップで補えるはずがない損失規模
➡ 結果:ロスカット、または損切りで撤退

🔗 参考リンク:トルコリラ為替推移 – TradingView

ケース2:南アフリカランド/円の急落(2015年チャイナショック)

• 当時のZAR/JPYは8.5円 → 数日で6.5円に急落
• スワップ狙いでポジション保有していた投資家が、
• 「1.5円下落 × 1万通貨=-15,000円」の含み損
• スワップ1日80円では約190日分を一瞬で失う

➡ 政策金利やスワップは変わらなくても、市場の混乱で一気に崩れる

ケース3:メキシコペソ/円も例外ではない(コロナショック)

• 2020年2月〜3月、コロナショックによりMXN/JPYが7.0円 → 約4.3円まで暴落
• スワップが高かった時期にもかかわらず、3円近くの下落で、
• 含み損:-30,000円(1万通貨)
• スワップで取り返すのに約200日以上必要

● 投資家の体験談(一例)

「TRYはスワップが魅力だったのでコツコツ積み立てていたが、含み損が一気に膨らんで、最後は強制ロスカット。スワップ益どころか資産全体が半減した」
— Twitterより(引用元:@nekutaru)

スワップ投資最大の失敗要因は「為替の急落」

スワップ収益には時間が必要だが、損失は一瞬で起きます。
高スワップ通貨=高リスク通貨という認識を持つべきです。
スワップが高いから買う」だけでは破綻するリスクがあります。

為替リスクを抑えるための3つの対策

スワップポイント狙いの運用は、ポジションを保有する時間が長くなるため、為替変動リスクを受けやすい特徴があります。
ここでは、スワップ戦略を破綻させないための3つの実践的な対策を紹介します。

対策①:ロット数を抑えて“余裕資金で運用”する

スワップ投資は「じっくり待つ戦略」なので、短期で大きく稼ぐ必要はありません。
むしろ、大きなロットで含み損を抱えて強制ロスカットされることこそが最大のリスクです。

目安例(国内口座、レバレッジ25倍):

資金おすすめロット数理由
10万円1,000通貨〜5,000通貨為替が1〜2円下がっても耐えられる
50万円1万通貨〜2万通貨1円下落で最大2万円損でも余裕あり

➡ 無理なレバレッジ運用はNG。「スワップは守りの投資」と割り切るのがポイントです。

対策②:ストップロスを設定して“最悪に備える”

たとえスワップ目的でも、「為替が暴落したときに自動で逃げられる仕組み」は必須です。
ストップロスを設定しておけば、予想外の急落から資金を守れます。

具体的な設定方法:
• 直近安値の少し下にストップを置く
• トルコリラ/円のような変動が激しい通貨は広めの余裕を取る
• ストップ位置は資金とリスク許容度に応じて調整

➡ 損切りは「負け」ではなく、「生き残るための戦略」です。

対策③:長期チャートで“方向性”を確認してから入る

スワップ収益を長期間得るには、「なるべく下がらない通貨」を選ぶのが前提です。

実践ポイント:
• 月足や週足チャートで「長期的な下落トレンド」でないかチェック
サポートライン(下値支持線)の手前で買いポジションを取る
• エントリー前に「直近安値から何円下がる余地があるか」を見積もる

例:
• MXN/JPY(月足)を見ると、6.5〜7.5円のレンジが長く続いており安定的
• TRY/JPY(月足)は2014年以降ずっと下落基調 → 基本的に非推奨

リスクを取るなら“通貨の分散”も有効

1つの通貨に集中投資すると、その国の政治・経済ショックの影響をまともに受けます。

解決法:
MXN/JPY(メキシコ)+ZAR/JPY(南ア)+AUD/JPY(オーストラリア)のように、
政策金利・経済安定性・為替の動きが違う通貨を組み合わせてリスクを分散することができます。

スワップ運用は「安定」と「安全」のバランスが命

対策狙い
ロットを抑える為替変動に耐える余裕を持つ
ストップロスを入れる想定外の急落に備える
長期チャートで方向を見るトレンド逆行を避ける

「スワップは放置して稼げる」ではなく、「リスクを管理してコツコツ増やす」投資です

スワップ戦略を成功させるために知っておくべきこと

スワップポイントを狙ったFX運用は、手堅く資産を増やす選択肢として有効です。
しかし、その魅力ばかりに注目して「為替リスク」や「通貨選びの重要性」を軽視してしまうと、せっかくの収益が帳消しになってしまうこともあります。

本章では、これまでの要点をふまえて、初心者がスワップ運用を成功させるために必要な視点を再確認します。

スワップ戦略の魅力とは?


• 毎日自動で利益が積み上がる「インカムゲイン型」運用
• 長期保有が前提なので、トレードに時間を割けない人にも適している
• 為替の細かい動きを読む必要がなく、再現性が高い
• 一定の計画性と管理さえあれば、投資初心者でも始めやすい

スワップ戦略の「誤解」と「落とし穴」

誤解実際は…
スワップがあるから安全為替が逆行すると収益を超える損失を抱えるリスクがある
放っておけば勝手に貯まる金利変更・業者変更・為替変動など外的要因が常にある
高スワップ通貨が最強高スワップ通貨=高リスク通貨。暴落リスクが高く管理必須

成功のための基本戦略3か条

1. 低レバレッジ・小ロットで始める
• 強制ロスカットを防ぎ、長期保有を実現する土台
2. 為替方向とチャートを確認して入る
• トレンドに逆らわないポジションで、損失を抑える
3. スワップは“おまけ”、為替損益が本体と考える
• スワップに目を奪われず、トータル損益で判断

まとめ

スワップは“リスクと時間のバランス”で得る利益であり、甘く見れば損失、丁寧に扱えば資産になります。

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